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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

事、志とちがってきたので、孫権は一夜煩悶したが、ひそかにこれを呂範へ相談すると、呂範は事もなげに片づけて云った。

「なにも、それならそれで、よろしいではありませんか。そっと、大将賈華へお命じなさい。甘露寺の回廊の陰に、屈強な力者や剣客の輩を選りすぐって、三百人も隠しておけば大丈夫です。――そしてよい機に」

「む、む。絶好な場所だ。そうしよう。……だが呂範、もし母上と玄徳と対面中に、母上が、彼の人物を見て心にそまぬようだったら、すぐ殺ってくれ」

「もし、母公のお心にかなったようなご容子のときは」

「そんなことはないと思うが……もしそう見えたら……そうだな、時をおいて、母上のお気持が彼に対して変るまで待とう」

次の日――早朝。

呂範は、媒人役として、当然、玄徳の客館へ、その日の迎えに出向いた。

玄徳は、細やかな鎧の上に、錦の袍を着、馬も鞍も華やかに飾って、甘露寺へおもむいた。

趙雲は、五百の兵をつれて、それに随行した。甘露寺では、国主の花聟として、一山の僧衆が数十人の大将と迎えに立ち、呉侯孫権をはじめ、母公、喬国老など、本堂から方丈に満ち満ちて待ちうけていた。