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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页
「田舎の県令ですか。それも暢気でいいかも知れませんな」
※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統は辞令を受けると、即日、任地へ立って行った。荊州東北、約百三十里の小都会である。
だが彼はそこの知事として着任しても、ほとんど役所の時務は何も見なかった。地方時務の多くは民の訴え事であるが、訴訟などはてんでほうりだしておくため、書類は山積して塵に埋まっている。
当然、地方民の怨嗟や糾弾の声が起った。そして中府の荊州にもこの非難が聞えてきたので、温厚な玄徳も、
「憎い腐れ儒者ではある」と、直ちに、張飛と孫乾にいいつけ、耒陽県を巡視して、もし官の不法、怠慢のかどなど発見したら、きびしく実状を糺して来いといった。
「心得ました」
二人は、数十騎の侍をつれ、吏務検察として赴いた。郡民や小吏は聞きつたえて、
「お待ちもうしておりました」とばかり、こぞって出迎えに立ったが、県令の顔は見あたらない。
「役所の者はおらんのか」
張飛がどなると、一役人が、
「これに出ておりますが」
と、恐惶頓首して答えた。
「お前たちじゃない。県令はどうしたか」
「それが、……その何とも」
「明らかにいえ。