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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页

青空文庫

船筏も浮橋も、見事に炎上してしまった。何で製したものか、梨子か桃の実ぐらいな鞠をぽんぽんほうる。踏みつぶしても消えない。ばっと割れると油煙が立ち、大火傷をする。そしてなお燃えさかる。

こういう厄介な武器を持つ西涼軍に対して、さすがの曹操も、ほとんど頭を悩ましてしまった。

智者荀攸がいう。

「渭水の堤を利用し、土塁を高く築いて、蜿蜒、数里のあいだを、壕と土壁との地下城としてしまうに限りましょう」

「地下城。なるほど。土の地下城では、焼討ちも計れまい」

さらに、人夫三万を加え、孜々として、地を掘らせた。

坑から上げた土は、厚い土壁とし、数条の堤となし、壇となし、ここに蟻地獄のような土工業が約一ヵ月も続いた。

さながら埃及のピラミッドを見るような土城が竣工しつつある。西涼軍のほうからも眺められていたにちがいない。しかし、手を下しかねているものか、しばらく夜襲も焼討ちもなかった。

すると、渭水の水が一日増しに涸れて来た。かなり雨が降り続いても水が増えない。変だと思っていると、一夜、豪雨が降りそそいだ。その翌朝である。

「津浪だっ」

「洪水だっ」

物見が絶叫した。