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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页
――もし幸いに、功成り名をとげる日もあれば、兄もまたここへ帰ってくるであろう」
「はい。……その日の来るのを楽しみに、留守をしております」
均は、つつしんで、兄の旨を領諾した。
その夜、玄徳は、ここに一泊し、翌る日、駒を並べて、草庵を立った。
かくて岡を降ってくると――前の夜にこの趣を供の者が新野に告げに行ったとみえて、――迎えの車が村まできていた。
玄徳は孔明とひとつ車に乗り、新野の城内へ帰る途中も、親しげに語り合っていた。
このとき孔明は二十七歳、劉備玄徳は四十七であった。
新野に帰ってからも、ふたりは寝るにも、室を共にし、食事をするにも、卓をべつにしたことがない。
昼夜、天下を論じ、人物を評し、史を按じ、令を工夫していた。
孔明が、新野の兵力をみると、わずか数千の兵しかない。財力もきわめて乏しい。そこで劉備にすすめた。
「荊州は、人口が少ないのでなく、実は戸籍にのっている人間が少ないのです。ですから、劉表にすすめて、戸簿を整理し、遊民を簿冊に入れて、非常の際は、すぐ兵籍に加え得るようにしなければいけません」といった。
また自分が、保券の証人となって、南陽の富豪大姓黽氏から、銭千万貫を借りうけ、これをひそかに劉備の軍資金にまわして、その内容を強化した。