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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
私がね、旨く都合をして、定子さんを可い処へ引出すわ。
それにゃ、本宅の薬剤師に、梅岡さんといって、大層私を可愛がってくれる人があって、いつでも先生を呼出すには、その方に手紙を出したり、電話をかけたりして頼むんだよ。やっぱりお前とおんなじように、大の姫様嫌い。おもて向き私を御新造にしてやりたい。でも定子さんがあっちゃ何だから、ちょいと一服モルヒネでも装りましょうか、手のもんでわけなしだって、洒落にもいっている人だから、すぐに味方して、血判をしてくれます。)
いや、遠山さん。」
と丹平苦り切った顔色で、
「愛吉が、手負の傍で、口を尖がらかして呼吸を切りながらせいせいいって饒舌った時には、居合わせた梅岡薬剤。神田の兄いだが、目を円くして驚いた。
その筈でがす。隣家の隠居の溜飲にクミチンキを飲ますんだって、メートルグラスでためした上で、ぴたり水薬の瓶に封。薬剤師その責に任ず、と遣る人を、人殺の相談に、わけなし血判。自分の医院の奥様に、ちょいとモルヒネをなんて、から、無法極まる。
ねえ、先生。」
三十五
「これをまた真面目にうけさせる気で、口へ出した、柳屋のも柳屋の。