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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
友達三人で煽ったんでさ。
友達といったって、まとものものは、附合いませんや。自分じゃ仏だ、仏だといいますが、寝釈迦だか、化地蔵だか、異体の知れない、若い癖に、鬼見たような痘痕面で、渾名を鍍金の銀次ッて喰い詰めものが、新床だと嗅ぎ出して、御免下さいまし、か何かで、せしめに行った奴を、おともだち、お前さんも不景気で食えねえのか、飯はないが酒はあるてって、引摺り入れた役雑とね。
もう一人は車夫でさ。生れてから七転びで一起もなし、そこで通名をこけ勘という夜なし。前の晩に店立てをくったんで、寝処がない。褌の掛がえを一条煮染めたような手拭、こいつで顱巻をさしたまま畳み込んだ看板、兀げちょろの重箱が一箇、薄汚え財布、ざッとこれで、身上のありッたけを台箱へ詰め込んだ空車をひいて、どうせ、絵に描いた相馬の化城古御所から、ばけ牛が曳いて出ようというぼろ車、日中は躄だって乗りやしません。
ごろりごろりとやって、桜木町を通りかかって、此奴も同く路地床の開業を横目で見たからぬかりませんのさ。
右のね、何ですっさ。にごり屋の軒下へ車を預けて、苜蓿のしとったような破毛布を、後生大事に抱えながらのそのそと入り込んで、鬼門から顔を出して、若親方、ちとお手伝い申しましょうかね……とね。