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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
で。
奴裸火の下に大の字だから、何、本人はどうでもいいとして、近所ずから、火の元が危いんでね、乗りかかった船だ、また台所から入って見ると、平気なもんで、ぐうす、ぐうすう。
鼠が攫ったか、それとも長屋うちの腕白がしょこなめたか、五銭が餅菓子一つもなし。
から、だらしがねえにも何にも。
そこで、火の用心に、洋燈はフッと消したんですが、七輪の鍋下の始末をしなかったのが大ぬかり。
もっとも火のある事は気がついたそうですが、夜中にゃ、こけ勘が帰って来る。それまでは隣家の内が、内職をして起きている、と一つにゃ流元に水のない男世帯、面倒さも面倒なりで、そのままにして置きました。さあ、これが大変。」
「失火たかい。」と膝の進むを覚えず、火鉢を後に、先刻から摺って出て、聞きながら一服しようとする。心を得て、若い衆が拭って返した、長煙管を、ほとんど無意識に受け取って、煙草盆を引寄せる。
若いものも台所へ下流の板から、橋を架けた形で乗り出し、
「お前さん、とうとう小火です。」
「ね、行ったろう、」
果せるかなと煙管をト――ン、
「ふう、」と頷きながら煙を吹く。
「夜中の事で。江戸川縁に植えたのと違って、町の青柳と桜木は、間が離れておりますから、この辺じゃ別に騒ぎはしませんでしたが、ついこの月はじめの事ですよ。