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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「ほ。……山にご法話の会があるのですか」

「はい。時刻におくれると、羅真人さまのお話が聞けませぬ。それでついわしも心が急ぎましてな」

「オ、また一碗、麺ができて来ましたよ。さあさあ、おさきにお喰りください。して何ですか、そのお山というのは」

「この薊州郊外から四十五里、九宮県の二仙山というお山の麓でしてな」

「真人がいらっしゃるほどなら、ほかのお弟子の道人たちもたくさんいるのでございましょうな」

「おりますとも、なんといっても、真人さまは、諸道人のうちでも、いちばん修行を積み、位も一段高いお方ですな」

「もしや、公孫勝という道人を、そこでご存知はありますまいか」

「あああの、おふくろ様と一つの庵に住んでござらっしゃる公孫一清さんなら、わしが家のつい近所じゃが」

「えっ、ご近所なので」

まさにこれ、何かのひき合せと、戴宗は雀躍りしたいばかりだった。なお仔細に道をたずね、老人には厚く謝して、いちど旅籠へひっかえした。そして身拵えをあらためるやいな、四十五里を神行法の一ときに馳けて、まもなく九宮県から五里の奥に二仙山とよぶ幽境を目に見ていた。

羅真人の仙術、人間たちの業を説くこと