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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
だが反撃を食ったらしい。とたんにそこの石段を、諸仆れに、ころころ転がりあっていた。
工廠の鎚音は水泊に冴え、不死身の鉄軍も壊滅し去ること
じつは一場の狂言――梁山泊の仲間が書いた偽計とは――金鎗手の徐寧がここで気のつくはずもない。
街道の胡麻の蠅みたいな一方の男は難なく捕り抑えたが、こいつもじつは梁山泊のひとり時遷なのだ。
だが、徐寧をこれまで誘き出してきた徐寧の従兄弟湯隆とは、ちゃんと、筋書が出来合ッていることなので、時遷にしては大いに芝居はやりいいわけだ。
「あっ。……ア痛、痛、痛。……そう首を締めちゃアしゃべれといっても、何もしゃべれやしねえじゃねえか。もう何でもいっちまうから、手をゆるめてくんねえ」
時遷の泣きッ面に、湯隆もそばからいった。
「徐寧さん、もう大丈夫だろうじゃないか。とにかく、そいつの言い分を聞いてみよう」
「よしっ、さあ吐かせ」と、徐寧は突ッ放して――「よくもわが家の宝、薄羽小札のよろいを盗み出しおったな。その朱革のよろい櫃がここにあるからには、下手人はうぬに相違あるまい。さ、白状しろ」
「するがね、大将、こいつは空だよ」
「うそをつけ」