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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「そうかなあ。わしは禁止がよいと思ったが、聞達、李成はじめ、多くの意見は、その逆か」
「はいっ……」と、李成が一同を代表していう。「ご高見にも、一理はありますが、なにせい、昨年から人心は極度な不安に落ち、政府の威信をすら疑っております。……そんなばあい、もしここで、彼らが一年の楽しみとしておる元宵節の行事までを、禁止すると発令したら、またも不景気の様相を一倍にし、怨嗟、蔭口、果ては暴動にもおよばぬ限りもありません」
「厄介なもんだなあ、じつに人民というやつは」
「ですが、その人心も、政治の持って行き方では、案外、他愛のない一面もあるものです。思うに、むしろ今年などは、前年よりも、元宵節は盛んにすべし、とご布告あってしかるべきかと存じられまする」
「なるほど。それもいいな」
「すなわち、祝祭は陰暦一月十三日から十七日までの、五日間となし、ご城内でも、高楼に百千の燈籠をかざり、門という門は、これを花と緑でうずめ、閣下もまた、吉例の“春祭りの行列”へおくり出しあるなど、人民と共に楽しむ事実をお示しあらねばなりません」
「大きに、そうだった。北京市は河北第一の大都会。