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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
しかし、営内から旗門のそとでは、ごうごうたる不平と抗議の呶罵だった。
「宋司令。没羽箭を渡し給え。ずたずたにしてくれねば腹がいえん!」
と、わめくのである。
頭を繃帯している花和尚、片目をつぶされた劉唐。そのほか、生け捕るために、傷を負ッたり、またクタクタに骨を折らせられた連中だ。無理はない。
だが、宋江は叱って言った。
「君らは自分以上な者を敬うことを知らないのか。思うに、天星が相会する重大な機運が来ているものと思う。諸君の望むわたくしの成敗などはゆるされない」
すでに、張清も観念の色だった。彼も、東平東昌二府の奉行、程万里の悪行には、ひそかな同情を人民によせ、決して官途に安んじていたのではなかったのである。
「ですが、東昌府には惜しい人間がひとり残っています。なろうことなら、その者も共に、梁山泊へひきとっていただけますまいか」
張清は、推薦して措かなかった。
訊けば。
姓は二字の皇甫、名は端。
年ひさしく府城の馬寮に勤めてきた実直なる馬医師であるという。
「本来は幽州の生れで、ひげは、黄色く、眼は碧く、どうみても西蕃人そっくりなので、あだ名も紫伯といわれています。