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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
すると道士のうちに何玄通という者があって、自分はつねに太古の蝌蚪文字古代文字を解読する一辞書を持っているが、これに照らせばどんな古代文字といえど読み解けぬことはないという。そこでさっそく何道士にそれを取寄せさせて、読ませてみると。
「――わかりました。碑の左右にある二聯の文字の一方には“替天行道”とあり、一方には“忠義双全”と読めるのであります。そして上にずらりと書いてあるのは、すべて南斗、北斗の星の名まえ、下にはその星の性をもった人間の名が記されておりまする」
「や。しかも? ……」と宋江は碑に顔をよせて「碑のうらおもてにかけて、それはちょうど百八行だが」
「そうです。おもての蝌蚪文字三十六行は天星でして、うらの七十二行もまた、すべて地星の名。そしてその星それぞれの下に、すなわち性を個々の身に宿した宿命の人名が書いてあるのでございまする。もしお望みなれば順にそれを読み上げてみますが」
「オオ願おう。一同もこれに集まって粛と下にいて聞くがいい。そうだ、蕭譲は筆をとって黄紙にそれを書き写せ」
ここで読者はすでにお読みになったはずの序編水滸伝第一章“百八の星、人間界に宿命すること”のくだりを想起していただきたい。