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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
と。
「そうだ、一切を荼毘に附して、亡者の霊をなぐさめ、おれたちは、ここを下山としよう」
つい先刻、亡者どもがあばき合っていた粥鍋の窯には、まだ鬼火のようなトロトロ火が残っていた。智深はその薪の火を持って、庫裡に火を放った。――そして両人、宵の山路を、どんどん麓へ降りていった。
「おお花和尚。あの山上の紅蓮を見ないか」
二人は振り向いた。――満天は美しい焔の傘から火の星を降らせている。宋朝初期のころには、紫雲の薫香、精舎の鐘、とまれまだ人界の礼拝の上に燦いていた名刹瓦罐寺も、雨露百余年、いまは政廟のみだれとともに法灯もまた到るところ滅びんとするものか、惜しげもない末期の光芒を世の闇に染めだしていた。
智深と九紋龍は、それから二日路ほどの旅をともにし、やがて華州と開封路の追分けにかかるや、再会を契って、袂を別った。
――さて。一方は日ならずして、時の花の都、開封東京にたどり着き、さっそく大相国寺の智清大禅師をその山門に訪うて、
「拙僧は智深と申す五台山の一弟子ですが、当山の禅師がおんもとにて修行を積めいと、師よりお添状をいただいてまいった者。よろしくお取次のほどを」