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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「ほう、ようこそ」
と、立って席へ迎え、
「王君でいらっしゃるか。実にお久しいことだ。いや。ご出世を見て私までがじつにうれしい」
と、眼を細めてなつかしがった。
「はて? どなたでしょうか」
「おわかりにならんかな?」と、いよいよ親しみをこぼしながら「どこか幼な顔というものはお互いにあるものです。思い出してみて下さい」
「では郷里の」
「そうです」
「あなたも楚州のおかたですか」
「だんだんご記憶が浮かんでこられましたな。とにかくあなたが都で進士の試験に通ってめでたく官途につかれたということは、私は遠い北京にいて聞いたのです。いやお別れしたのはそれいぜんお互いにまだ一つ童塾へ通っていた頃ですからな」
「ああ、ではあの准安の小学塾で」
「ま、一献まいりましょう。なにしろ、話がそこへ行ったら限りがない……」と、さっそく杯をすすめ、話の綾を巧みに縫いながら、柴進がふと問いかけた。
「その冠の花は、元宵節の何かですか」
「そうです」と、王は得意になって「班にして二十四班、五千八百人の官吏に洩れなく、天子さまからお祝として、時服一ト襲ねと、この翠葉金花の簪が一本ずつ下賜されます」