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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

それで生きた人間は斬れねえときては、なンにもなるめえ」

「斬ッても、刃の肌に血の痕をとどめぬというのが、この宝刀の鍛えだ。さあ、それだけの説明で充分だろう。退いてくれい」

「いや、おもしれえ。そんならこれを斬ッてみろ」

牛二は、一トつかみの銅貨を、州橋の欄干の上に、塔みたいに積み重ねて。

「さあ、そこの騙り野郎。ここへきて、この銭を見事斬ッてみろ。斬ッたら、三千貫くれてやるが、斬れなかったら、ただではおかねえぞ」

群集はわッと輪をひらいた。名うてな街のゲジゲジと、刀売りの大言壮語。どうなるやらと、往来はいよいよ山をなすばかりである。

「……よしッ、見せてやる」

楊志はついに欄干の前へ寄っていった。じっと、銭の一点を見ていることしばし、抜く手を見せずとは、その間髪のことか。――二つに斬れた銭の数枚が、刃の両側へバッと飛び、しかも欄干には傷痕も残さなかった。

「やあ、斬れたっ。ほんとに、斬れたわ」

どよめく見物人の喝采を尻目に、毛無シ虎は、なお躍起だった。いきなり自分のの毛を一とつかみほど、り抜いて、

「おッと、待ちねえ浪人。そんな手品は、大道芸人もやるこッた。