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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
それほどなご賞辞ならば、この索超を打ち負かしたうえにて、彼へおさずけ願いたい」
「はははは。誰かと思えば、急先鋒とアダ名もある正牌軍(一軍の大将)の索超か。よからん、よからん! 望みとあれば勝負してみよ」
いよいよ、事は物々しくなった。両者にはあらためて、本格的な武装を命じ、試合場所も、将台の欄まぢかに移されたので、梁中書は白銀の椅子を欄前にまで進め、折から北京七門の楼門上には、大きな日輪が夕雲に落ちかけてきたので、縁飾り美しい蓋傘は、彼の冠の上に瑶々として翳されていた。
開始の軍楽。――それがやむと、両側の柵内で、金鼓が鳴り、楼の上では用意! の黄旗が早や振られている。
どかんと、はるか馬場の末のほうで、烽火用の爆音が、夕空に谺した。見れば、西の門旗の下からは、急先鋒索超、東門からは、青面獣楊志。各※(二の字点、1-2-22)さんぜんたる鎧、甲のいでたち。さながら戦陣そのままな猛気を飾って、静々、こなたへ相寄って来るのが見える。
「おうっ……」
たちまち、二騎の姿は、魚紋を描いて、もつれ繞った。
索超は、雪白の馬上に、金色の焔を彫った大斧をひッさげ、楊志はするどい神槍を深くしごいて、とうとうと馳け巡りながら虚をさぐる。