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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「だれだい? お前さんこそ」
と、先も鸚鵡返しにいう。
「いやさ、きさまらは、どこのどいつかと訊いておるんだ」
「ふん。こちらも、お前さんはどこの馬の骨かと訊いてるんだよ。ははん……黄泥岡によく出ると聞いたがその悪者か」
「ふざけるな。きさまらこそ、それではないのか」
「えらい者ンに買いかぶられたなあ。あいにくこっちは、若いのや老いぼれやらの、しがない小商人だ。ところで、お前さんの方は?」
「わしもじつは開封の商人だ。胡北で仕入れた毛皮などの商品を、強力に担わせて、都へ行く途中だが、この附近は物騒と聞いて来た折も折、いま松林の蔭から、へんな男が、うさんな眼つきで、わし達を窺っていたので、さてはと、追ッかけて来たわけだが」
「はははは」
「アハハハハ」
七人は、どよめき笑って、
「そいつア、とんだ鼬ごッこだ。こっちも、ここで涼ンでると北の方の麓から物凄い野郎ばかりが十六、七人も、何か担いでやってくるというわけさ。さあ大変だ、黄泥岡の名物がおいでなすッたぜと、胆を冷やして、仲間の一人が、まず様子を探りにいったわけだ。……ところがよ、どうも、悪者でもなさそうだというんで、なアンだとばかり、涼み直していたわけさ」