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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
云々な次第で、黄信も手を焼いてしまったらしい」
「心得ました。大言ながら秦明が馳せつけるからには、ご憂慮には及びません」
「だが、軍官の花栄が寝返ッて賊中で指揮をとっている由だぞ。油断するな」
慕蓉は兵を鼓舞するために、自身、城外の鼓楼へ床几を移して、兵一人宛てに酒三杯、肉まんじゅう二箇ずつを供与して、その行を壮にした。
やがて紅の縁をとった紅炎旗に「兵馬総監秦、統制」と書いた大旆を朝風にひるがえして、兵五百の先頭に立った秦明は、馬上から鼓楼の床几へ向って、
「では行って来ます。吉報は旬日のまにお耳に入りましょう。おさらば」
とばかり軍鼓堂々と、東南の道へくだッて行き、その歓呼と狼煙の下に、慕蓉もまた手を振ってその征途を見送ったものだった。
ところで、一方、清風山上の賊寨では。
あの日、黄信の不意を突いて、首尾よく宋江と花栄の檻車を打ち破り、二人の身を山上の砦へ助け入れてから、さてその夜は、再生再会のよろこびと事のいきさつの語り合いで、一朝の悲境も一転、まるで凱旋の宴にも似ていた。
「憎むべき奴は、文官の劉高」
すべては、彼の拵え事にあるとなして、宋江が、