轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「おい、張! もう一ぺん聞かせてくんな。江州送りの色の黒い流刑人だって。そこにいるのか、その人が」
「うム、こいつだが」
「もしや?」
ばっと、その快舟にいた三人の男たちのうちから、ひとりがこっちの舟へ跳び移って来た。そして上下に躍る足もとも早きざみに。
「もしやそちらは、宋押司さんじゃありません」
「えっ?」と宋江は伸び上がった。そして思わず両手を虚空に振り上げて。「――おおっ、いつぞやの李俊か」
「李俊です。お忘れのはずはない。掲陽鎮の峠茶屋でお目にかかり、またおとといの夜はてまえの家にお泊りねがってお別れしたばかりでした」
「どうして、あなたがここへ」
「今日は家にいて出る気もしなかったんですが、夕方から妙に心が騒ぎ立ち、こんなときには、いっそ大江を漕ぎ廻し、闇屋の塩舟でも襲ッて飲みしろ稼ぎでもするかと、ほかの兄弟分ふたりを誘いあわせての帰り途。いや、こいつも尽きぬご縁というものでしょう」
驚いたのは、薄刃切りにかかりかけた張とよぶ船頭である。茫然、あいた口もふさがらない。
「李の兄貴、いったい、こいつあどうしたわけです」
「どうもこうもあるものか。てめえも命びろいしたようなもんだぞ」