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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「ですから先生……」と李逵は、まず宋江にとって第一の憂いに、こう安心を与えたうえで、

「――次には、県の追手頭の趙能と趙得ですが、そいつもかくいう黒旋風が、玄女廟の近くでたった今、この二挺斧でかたづけてしまいました。ですから、もうご心配はございません。……が、峠の方では、一同が案じ合って、吉左右を待っているにちがいない。さあ先生、そっちの方へ急ぎましょうぜ」

と、もう先に立って馳け出していた。

まもなく宋江は、一団の黒い人影を嶺の上に見いだしていた。すでにその人々も劉唐の知らせで宋江の無事を知り、月下、こぞって歓びの手を振っている。

すなわち統領の晁蓋以下、花栄、秦明、黄信、薛永、蒋敬、馬麟らの寨友たちであった。そこへまた李俊、宋万、穆弘、張黄、張順、穆春、侯健、蕭譲、金大堅らも加わり、李逵の一と組をあわせると、約三、四十名の顔合せとなったわけ。

「まことに、よけいなご心配をおかけしました」

と、宋江は一同へ深く詫びて、また特に、

「老父と弟も、はやお手配のもとに、梁山泊へお引取りくだされたよし、ご温情は忘れません」

と晁蓋の手を拝して、しばらくは、うれし涙にくれる風だった。