轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「あっ?」
と、駒をひるがえすまもなかった。
日月二刀のひらめきが彼の身をかすめ、それを庇おうとした誰か一人は馬上からずんと斬り下げられていた。戛然と、戟の柄がつづいて斬られた。暗さは暗しである。宋江は危なかった。
すると、さらに一陣の突風がこの渦の中に渦を加えた。キラと夜目にもしるき獅子頭の兜巾と、霜花毛の駿馬にまたがった一壮漢の姿を、その一勢のうちに見て、宋江はおもわず地獄で仏のような声を発した。
「豹子頭か。加勢に来たのは豹子頭の林冲か」
「林冲です、林冲ですっ。ここは打ちすててお落ちください」
聞くとすぐ、宋江ならぬ一丈青のほうが、颯ッと、駒の背に身を沈めて横道へ馳け出した。
林冲といえば、梁山泊以外でも、「当代の小張飛」という勇名がある。それには一丈青も女ごころの脅えにふと吹かれたものか。
「待てっ。女将軍」
林冲は逃がさない。馬の速さがてんで違う。観念したものか、一丈青はふいに馬を向けかえた。林冲の打物は、丈八の蛇矛であった。彼女の二刀もすぐその一剣は搦み落され、ひッきりなしに、睫毛へ迫る白い焔のような蛇矛の光を交わしながら、彼女のしなやかな腰から胸はまるで柳の枝を撓めるように何度も反ッた。