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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

同時に奥の方からは※大虫おばさん、孫立の妻、そして、楽和そのほかも馳せ集まる。

驚愕したのは、城外に戦っていた欒廷玉や祝兄弟それぞれの隊と、その戦場であった。

「や、や。あの煙は?」

と吊り橋を引っ返して来た欒廷玉は、そこの口を塞いでいた孫立以下の者と、後ろからの追撃に挟まれて、橋上の立往生を遂げてしまい、祝龍、祝虎の兄弟は、おなじく城の火の手に驚いて戻る途中、寄手の呂方、郭盛の埋伏隊につつまれて、これまた最期の是非なきにいたってしまった。

ひとり三男の祝彪は、

「こいつはてッきり城中の裏切り?」

と見、死地を脱して、扈家荘へ逃げた。

――例の一丈青の兄、扈成が支配している一族の一荘だ。

ところが、扈成はすでに、妹の一丈青の身の保証と交換に、宋江とのあいだに、不戦密約をしていたので、門を閉じて、彼を入れず、為に、戦い疲れた祝彪は、それを執拗に追いまわして来た黒旋風李逵の二丁斧の下に、ついに命を終ってしまった。

ところで李逵は、これだけにしておけば、いい男であったものを、宋江と扈成の密約などは頭におかず、つづいて荘門をぶちやぶり、家族召使いを、みなごろしにしたあげく火をかけてしまったものである。