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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

七

そしてまた幾日も二人で流連していた。

夜の目も合わさず衆が立ち働いているところへ心も体も酒に爛れたような父親が、嶮しい目を赤くして夕方帰って来ると、自分で下物を拵えながら、炉端で二人がまた迎え酒を飲みはじめる。棄てくさったような鼻唄や笑い声が聞えて、誰も傍へ寄りつくものがなかった。

お庄は剛情に坐り込んで、薪片で打たれたり、足蹴にされたりしている母親の様子を幾度も見せられた。火の点いているランプを取って投げつけられ、頬からだらだら流れる黒血を抑えて、跣足で暗い背戸へ飛び出す母親の袂にくっついて走け出した時には、心から父親をおそろしいもののように思った。

七

そんなことを想い出している間に、父親は鉄灸で塩肴の切身を炙ったり、浸しのようなものを拵えたりした。

「お庄や、お前通りまで行って酢を少し買って来てくれ。」父親は戸棚から瓶を出すと、明るい方へ透して見ながら言った。

「酢が切れようが砂糖がなくなろうが、一向平気なもんだ。そらお鳥目……。」と、父親は懐の財布から小銭を一つ取り出して、そこへ投り出した。

「あれ、まだあると思ったに……。」と、ランプに火を点していた母親は振り顧って言おうとしたが、業が沸くようで口へ出なかった。