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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
八十四
「私も、まさかあんな家とは思いませんでしたよ。」
お庄もつい引き込まれて、自分の家の事情など話しながら言い出した。お庄はここの人たちの心持も知っておきたいと思った。
「あのお爺さんのいるうちは、とても丸く行かないだろうって、良人でも心配しているんですよ。」と細君はこの婚礼についての主の苦心を語った。これまでにも、芳太郎がちょくちょくここへ囲まわれていたことも言い出された。
「……あの人が、一番可哀そうですの。」と細君はこうも言った。
八十四
芳太郎が、中村の知っているある通運会社へ出ることになってから、お庄も時々外へ出られるようになった。
これまで芳太郎は、中村から小遣いを強求っては、浪花節や講釈の寄席へ入ったり、小料理屋で飲食いをしたりして、ぶらぶら遊んでいた。昼は邸の裏の池に鉄網を張って飼ってある家鴨や家鶏を弄ったり、貸し本を読んだりして、ごろごろしていたが、それにも倦んで来ると、お庄をいびったり、揶揄ったりした。お庄がちょっとでも家を出ようとすると、芳太郎が目の色がたちまち変った。家へ訪ねて来たお庄の前の男のことも始終言い出された。
木立ちの深いこの部屋は、昼もめったに日光が通わなかった。