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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

六十四

口を窄めて火を吹いている、生え際の詰ったお増の老けた顔を横から眺めながら、お庄は毎日弁当を持って図書館へ通っていた芳村の低い音声や、物優しい蒼い顔を想い出していた。脚気で悩んでいる時も、お増は男を低い自分の肩に寄りかからせながら、それでも図書館通いを続けさせていた。

六十四

三人で安火に当っているうちに、磯野は腹が痛むと言い出して、そこへ突っ伏した。お増は押入れから自分の着物を出して来て、背へ被けたり、火鉢の抽斗から売薬を捜して飲ませたりしたが、磯野の腹痛は止まなかった。

「いけないわね。」と、お増は独りで気を揉みながら、枕など持ち出して来て、

「気味が悪いでしょうけれども、少しそこにお寝っていらっしゃいよ。」

「あまり晩くならないうちに、お庄ちゃんは一足先へお帰り。叔父さんが心配するといけませんよ。」と、大分経ってから、安火に逆上せたような赫い顔をあげながら磯野はいいつけるように言った。

「僕も少し治まったら、すぐ後から行って、叔父さんにお庄ちゃんを引っ張り出したお詫びをするからね。」

お庄は二人の様子を見て見ぬ振りをして黙っていた。

「心配しなくたっていいのよお庄ちゃん。