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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
五十九
お照は痩せこけた手で、豆ランプに火を点けると、やがてずるずるした風をして、段梯子を上って行った。
「田舎へ帰れアあれでもちゃんとした家の娘でいられるに。」母親は後で呟いた。
自棄になったようなこの女の心持が、母親には呑み込めなかった。
五十九
島田髷に平打をさして、こてこて白粉や紅を塗って、瘟気のする人込みのなかを歩いているお庄の猥らなような顔が、明るいところへ出ると、羞らわしげに赧らんだ。薬師裏を脱けた広場には、もう夏菊の株などが拡げられてあった。
帰りに暗い路次のなかの家へ入って、衝立の蔭で一緒に麦とろなどを喰べた。酒も取って飲んだ。そこを出たとき、お庄は紅い顔をしていた。
「阿母さんも行くなら行っておいでなさいよ。たまにゃ外へも出て見るといいのよ。」お庄は家へ帰って行くと、今やっと行水から上ったばかりの母親を促した。母親はにやにやした顔で二人を見迎えたが、女中と一緒に買物がてらお庄から金を渡されて出て行くまでには、大分暇がかかった。
中江という医学生のところへよく遊びに来る、お増という女が二階から降りて来ると、二人のなかへ割り込んで、辻占入りの細かい塩煎餅を摘みながら、間借りをしている自分の宿やここへ出入りする男の品評などを始めた。