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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

五十三

それでも、その子が育ってでもいれば、また帰る気になったかも知れないけれど。」

「そうすれば、私たちだっていなかったかも知れないわ。」

「そうせえ。」と、母親は弛んだような口元に笑みを浮べながら、娘の顔を眺めた。

田舎の思い出咄がいろいろ出た。お庄はべったり体を崩して、いつまでも聴き耽っていた。するうちに疲れたような頭脳が懈くなって来た。

「叔父さんはまた内儀さんを貰うでしょうか。」お庄は訊き出した。

「さあ、どうするだかね。先がまだ長いでね。」

お庄は倦み疲れたような心持で、壁に凭かかって、そこに取り散らかったものを、うっとりと眺めていた。

五十三

四十九日の蒸物を、幸さんや安公に配ってもらってから、その翌日母親とお庄とは、谷中へ墓詣りに行った。その日はおもに女連であった。公使館の通訳の細君に、丸山の内儀さんたちが家へ集まって、それから一緒に出かけた。子供がよく遊びに来るので、近しくしていた向うのある大店の通い番頭の内儀さんも、その子供をつれてやって来た。この内儀さんは、叔母が存命中ちょくちょく芝居を見に行った。入院中も時々来て見舞ってくれた。その子供は見て来た芝居の真似をして衆を笑わせるほど、ませて来た。