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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
六十
」
お銀はいつもの揶揄面とまるで違ったような調子で、時々応答をするのであったが、今の場合双方にその方法のつけ方のないことは、よく解っていた。
「とにかく僕はお前を解放しようと思う。今までにそうならなければならなかったのだ。」
「ですから、あなたも深山さんとよく御相談なすったらいいでしょう。」
お銀はそうも言った。
六十
笹村の興奮した神経は、どこまで狂って行くか解らなかった。どうすることも出来ないほど血の荒立って行く自分を、別にまた静かに見つめている「自分」が頭の底にあったが、それはただ見つめて恐れ戦いているばかりであった。口からは毒々しい語がしきりに放たれ、弛みを見せまいとしている女のちょっとした冷語にも、体中の肉が跳びあがるほど慄えるのが、自分ながら恐ろしくも浅ましくもあった。そんな荒い血が、自分にも流れているのが、不思議なくらいであった。
「とてもあなたには敵いません。」
そう言って淋しく笑う女も、傷を負った獣のように蒼白い顔をして、笹村の前に慄えていた。骨張った男の手に打たれた女の頭髪は、根ががっくりと崩れていた。爛れたような目にも涙が流れていた。