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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

三十二

「いずれ話のすんだ時分に僕も後から行こう。」笹村は再び出向いて行く友人を送り出しながら言った。

三十二

友人が一緒になる場合の条件などを提げて出て行ってから、二時間ばかり経つと、笹村も撓められた竹が旧へ弾ね返るような心持で家へ帰った。

夜になってから、三人は奥の六畳で花など引いて遊んだ。女の態度や仕打ちについて、笹村の始終友人に零していたことが、その日の女の弁解でほぼ友人の胸に釈けていたことは、友人の口吻でも受け取ることが出来た。女の言うことには、きちんとした条理が立っていた。

「僕も笹村君とは長いあいだのお交際ですが、今度のように困ったことはかつてなかったですよ。」と、いきなり友人の打っつかって行った時に、女は黙って聞いていた。

「……とにかく僕に委して下さい。別れてからあなたが商売でもしようと言うのなら、及ばずながら僕も出来るだけの心配はして見るつもりです、決して悪いようにはしない。」

友人はそこまで話を進めて行った。

女は笹村に対する自分の態度についてかえって友人に批判を仰ごうとした。夜具一つなかったこの家へ来てからの自分の骨折り――笹村のおそろしい気むらなこと、苦しい体をして始終質屋通いまでしたこと、自分の手で拵えた金で、ちょいちょい笹村の急場を救ったことなどが言い出された。