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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
五十四
」
叔父と甥と、何か巧んでいるらしく、その場の光景が、しばらくぶりで帰って来たお銀の目に映った。お銀の猜疑は、笹村に負けないほど、いつも暗いところまで入り込んで行かなければ止まなかった。
五十四
産は前より軽かったが、お銀の健康は冬になるまで恢復しなかった。一度水々しい艶を持ちかけて来た顔色は、残暑にめげた体と一緒に、また曇んで来た。手足もじりじり痩せて、稜立った胸の鎖骨のうえのところに大きな窪みが出来ていた。
ある知合いの医師は、聴診器を鞄にしまうと、目に深い不安の色を見せて、髯を捻りながら黙っていた。
「肺じゃないか。」
お銀が茶の室へ立って行ってから、笹村はたずねた。
笹村は比較的骨格の岩丈な妻の体について、これまで病気を予想するようなことはめったになかった。どうかすると鼻っ張りの強いその気象と同じに、とても征服しきれない肉塊に対してでもいるような気がしていたが、それもだんだん頽されそうになって来た。笹村は自分の体を流れている悪い血を、長いあいだ灑ぎかけて来たようにも思えて、おそろしくもあった。
「浜田さんか橋爪さんに、私一度見てもらいたい。」
お銀は時々そう言って、思うように肥立って来ない自分の体を不思議がったが、やはりずるずるになりがちであった。