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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

四十三

静かな夜であった。

四十三

この病人には、おもにお庄と、田舎から出て来た病人の母親とが、附き添うことになった。

田舎の母親の出て来たのは、入院した翌日の晩方であった。お庄はその日、朝はやく手廻りのものを少し取り纏めて、それを持って病院へ行った。病室には、糺が知合いの医員に話して、自由を利かせて、特別に取り入れた寝台のうえに、叔父が一人、毛布を着てごろりと転がっていた。床の上には、蓙を敷いて幸さんも寝ていた。看護婦と雑仕婦とが、体温を取ったり、氷の世話をしたりしている。朝の病院は、どの部屋もまだ静かであった。

叔父と幸さんとは、食堂の方で、賄いから取った朝飯を済ましたり、お庄が持ち込んで行ったお茶や菓子を食べたりしてから、やがて十時ごろに帰って行った。

「それじゃ私はまた来るから……。」と、叔父は深いパナマの帽子を冠って、うとうとしている病人の枕頭へ寄ると、低声に声をかけた。

体を動かすことの出来ない病人は昨夜初めて特に院長の診察を受ける時、手を通しやすいように、濶くほどかれた白地の寝衣の広袖から、力ない手を良人の方へ延ばした。「私もこんな体になって、いつどんなことがあるか知れないで、夜分だけはどこへもお出なされないようにね。