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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
二十六
「じゃ、何か欲しいものがあるならそうお言いなさい。姉さんお鳥目があるのよ。」
「ううん、お鳥目なんか使っちゃいけない。」弟はニヤニヤ笑った。
二人は橋を渡って木立ちの見える方へ入って行った。弟は姉と一緒に歩くのが厭なような風をして、先へずんずん歩いた。
別れる時、お庄は片蔭へ寄って、巾着から銀貨をあらまし取り出して渡した。
「姉さんも早くあの家を出るようにしておくれ。」と、弟の言ったのを時々思い出しながら、お庄は裏通りをすごすごと帰って行った。
二十六
帰って行くと、内儀さんが帳場の方に頑張っていた。
内儀さんは上州辺の女で、田舎で芸妓をしていた折に、東京から出張っていた土木の請負師に連れ出されて、こっちへ来てから深川の方に囲われていた。ここの老爺と一緒になったのは、その男にうっちゃられてから、浅草辺をまごついていた折であった。前の内儀さんを逐い出すまでには、この女もいくらかの金をかけて引っ張って来た老爺の手から、幾度となく逃げて行った。今茲十三になる前妻の女の子は、お庄がここに来ることになってから、間もなく鳥越にいる叔母の方へ預けられた。この継子を、内儀さんがその父親の前で打ったり毒突いたりしても、爺さんは見て見ない振りをしていた。