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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

二十

笹村は心を細めにしたランプを置いて、火鉢の蔭に丸くなって、臥そべっていた。

「私は今宙に引っかかっているような身の上なんですってね。家があってないような……いるところに苦労しているんですって。」

笹村は黙ってその文章に読み惚れていた。

「私京橋へ行こうか行くまいか、どうしようかしら。」

お銀はBさんという後楯のついている笹村と、うっかりした相談も出来ないと思った。

「B君の阿母さんの説では、一緒になった方がいいと言うんだそうだけれど……。」と言う笹村は、その後もB―と一、二度逢っていた。

晩に笹村は、賑やかな暮の町へ出て見た。そしてふと思いついて、女のために肩掛けを一つ買って戻った。

お銀は嬉しそうにそれを拡げて見ると笑い出した。

「私前に持っていたのは、もっと大きくて光沢がありましたよ。それにコートだって持ってたんですけれど……叔父さんが病気してから、皆亡くしてしまいましたわ。」

「そうかい。お前贅沢を言っちゃいかんよ。入らなけア田舎へ送ろう。」

笹村は気色をかえた。

二十

春になってから笹村は時々思い立っては引き移るべき貸家を見て行いた。お銀の体をおくのに、この家の間取りの不適当なことも一つの原因であった。