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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

五十六

「何だか会社を始めるとか、始めたとかいうことを聞いたが、そんな投機をやってまた失敗らなけアいいが。」伯母は苦い顔をしてこうも言った。

二階で糺の友達が多勢寄って花を引いていた。お庄はしばらく、そんな音を聞いたことがなかった。

「お前いくらか懐にあるだかい。」花には目のない伯母がにやにや笑いながら、段梯子を上って行くお庄に言いかけた。

その晩おそくまで、お庄はそこで花を引いていた。取られ分を取り復そうと焦心っているうちに、夜が更けて来た。連中には古くから昵みの男もあり、もう髭を生やして細君を持っているらしい顔もあった。お庄はそんな中に交って燥いだ調子で弁ったり笑ったりした。

明日昼ごろに、お庄は金六町の家へ帰って来ると、昨夜帰った叔父が二階にまだ寝ていた。三和土に脱いである見なれぬ女の下駄がお庄の目を惹いた。

「……芸者だか何だか……。」と、母親は笑っていた。

五十六

お庄らが母子の仕事として、ひっそりした下宿を出そうと思いついたのは、この事務所を畳んでから、一家が丸山の隣の小さい借家へ逼塞してからであった。それまでに会社の方はパタパタになっていた。欠損を補うべき金や、下宿の資本を拵えると言って、叔父は暮に田舎へ逃げ出したきり、いつまでも帰って来なかった。