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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
三十
しばらくすると、叔母の弟が正雄と一緒に帰って来た。色の白い目鼻立ちの優しいその弟は、いきなりそこにべたりと坐って溜息を吐いた。
「ああ、魂げてしまった。実に剛気なもんですね。」
「この人は銀座を見て驚いているんだよ。」弟は笑い出した。
部屋が急に陽気になった。お庄も晴れ晴れした顔をして、衆の話に調子を合わした。
三十
「叔父さんはことによると今夜も帰って来ないかしら。」叔母は柱時計を見あげながら気にしだした。時計はもう十二時近くであった。
「あの人の碁も、このごろは一向当てにならないでね。」
茶箪笥から出した煎餅も、弟たちが食い尽し、茶も出し殻になってしまった。母親は傍の話を聞きながら時々針を持ったまま前へ突っ伏さるようになっては、また重い目蓋を開いて、機械的に手を動かした。お庄はその様子を見て腹から笑い出した。
「阿母さんは何ていうんでしょうね。そんなに眠かったら御免蒙って寝んだらいいでしょう。」
「お寝みなさい。どうせ今夜は帰らないでしょうから。」叔母はその方を見ないようにして言った。
「いいえ、眠ってやしません。」
おそろしい宵っ張りな母親は、居睡りをしながら、一時二時まで手から仕事を放さない癖があった。