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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
」と、嫁はそこへこてこて取り出した着替えをそっくり片寄せておいて、明るい方へ出て来て坐った。姑も側へやって来て、嫁の着物の衿糸を締めなどした。お庄はそこへ鏡台や櫛道具を持ち運んで来た。
「東京じゃもう、大抵毛捲きなんですがね。どうしましょうか。」髪結は油でごちごちした田舎の人の髪を、気味わるそうにほどいて梳きはじめた。
お庄も母親も、取り外したその髪の道具に側から目をつけていた。
葬式にたつ人や、人夫に食べさすものを拵えている台所の方を、母親はその隙にまた見に行った。
「皆さんも、今のうち何か食べておおきなすって……。」母親はそこらを片寄せて、餉台の上へ食べ物を持ち運んだ。
お庄は食べる気もしなかった。
「あの人たちは、あれでなかなか金目のものを挿していますよ。」
「何しろある身上だでね。」
お庄は隙になった茶の室で、今やっと裏口から届けて来た、着物の包みをほどきながら、母親と額を鳩めて話し合った。包みのなかには、正雄に着せる紋附や袴も入っていた。二人は気忙しそうに、仕着け糸をりはじめた。母親はその中で、紋を一つ一つ透しては見ていた。
長く田舎に蟄居んでいる父親に物を亡くされた愚痴が、また言い出された。