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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

十三

お作が始末屋というよりは、金を使う気働きすらないということは、新吉には一つの気休めであった。お作には、ここを切り詰めて、ここをどうしようという所思もないが、その代り鐚一文自分の意志で使おうという気も起らぬ。ここへ来てから新吉の勝手元は少しずつ豊かになって来た。手廻りの道具も増えた。新吉がどこからか格安に買って来た手箪笥や鼠入らずがツヤツヤ光って、着物もまず一と通り揃った。保険もつければ、別に毎月の貯金もして来た。お作はただの一度も、自分の料簡で買物をしたことがない。新吉は三度三度のお菜までほとんど自分で見繕った。お作はただ鈍い機械のように引き廻されていた。

十三

得意場廻りをして来た小僧の一人が、ぶらりと帰って来たかと思うと、岡持をそこへ投り出して、「旦那。」と奥へ声をかけた。

「××さんじゃ酒の小言が出ましたよ。あんな水ッぽいんじゃいけないから、今度少し吟味しろッって……。今持って行くんです。」

「吟味しろッて。」新吉は顔を顰めて、「水ッぽいわけはねえんだがな。誰がそう言った。」

「旦那がそう言ったですよ。」

「そういうわけは決してございませんッって。もっとも少し辛くしろッてッたから、そのつもりで辛口にしたんだが……。