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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

七十

親戚たちの挨拶が長く続いた。

燭台の火が目にちらつくようで、見まいとしている婿の姿が、横からまた目に映った。

盃の時、骨細い婿の手が、ぶるぶる顫えていた。

七十

翌朝お庄が目を覚ました時分は、屋内がまだひっそりしていたが、立て廻した屏風の外の日影は闌けていた。昨夜は寝室へ退けてからも、衆はいつまでも騒いでいた。終いにはお袋の三味線などが持ち出された。汽車の間に合わなくなって、東京へ帰れなかった連中もあった。意地の汚い浅山も酔い潰れて、次の室に衆と一緒にごろ寝をすることになった。そんな人たちの疲れた寝息や鼾が、こっちまでも聞えた。

子息の芳太郎は、蒲団の外へ辷り出したまま、まだ深い眠りに沈んでいた。角刈りにした頭の地も綺麗で、顔立ちも優しい方であったが、手足の筋肉がこちこちと硬かった。時々板前をやると見えて、どこか腥い臭いのするのも胸につかえるようであった。お庄は明け方までおちおち眠ることが出来なかった。

芳太郎の口から聞かされる家の様子の、お袋の話と違ったところのあることが、じきにお庄にも感づけた。盃をする間際に、近所の飲み屋で酒を呷っていたのも、衆が揶揄っていたように、きまりの悪いせいばかりとも思えなかった。