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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

七十七

爺さんは二、三日東京へ出ていて、留守であった。お庄が帰って来る前に、母子三人のあいだに大揉めがあって、お袋も爺さんに頭脳をしたたか撲られた。お庄には深い事情の解りようもなかったが、牛込の自分の弟のところに母子厄介になっている親爺の添合いや子供のことから、時々起る紛紜が、その折も二人の間に起っていた。お庄が四ツ谷へ行ッったきり帰らなかったことも一つの問題であった。芳太郎がそのことで暴れ出して、二人に突っかかって行ったのが、一層騒ぎを大きくした。

お庄が帰って来た時分には、家がひっそりしていた。お袋は頭が痛むと言って結び髪のまま氷袋をつけて奥で寝ていたし、芳太郎もそこらで自暴酒を飲んで行いて家へ寄りつきもしなかった。

奥の客座敷で、お庄は年増の女中からその話を聞いて、体がぞくぞくするほど厭であった。お庄を速く呼び還せと言って、芳太郎がお袋と長いあいだ捫着したあげくに、争いが爺さんの方へも移って行った。お袋が死んでしまうと言って、素足のまま帯しろ裸で裏へ飛び出して行ったことや、狂気のように爺さんに武者ぶりついて泣いたことなどを、女中は手真似をして話した。