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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
」母親も傍へ来て弁解した。
「家柄が何だ。そんなことを今言ってるんじゃないんだ。」笹村は憎々しいような言い方をした。
「あなたから見れば、それはそうでもござんしょうが、田舎には親類もござんすで、娘がまたこんなことでまごつくようなことじゃ、私がまことに辛うござんすで……。」
暴れたような不愉快な気分が、明朝も一日続いた。
晩方K―が、ぶらりと入って来たころには、甥と一緒に、外を彷徨いて帰って来た笹村が、薄暗い部屋の壁に倚りかかって、ぼんやりしていた。茶の室では母親とお銀とが、声を潜めて時々何やらぼそぼそと話していた。
「おいおい、酒を持って来んか。」
笹村はK―と話しているうちに、ふと奥の方へ声かけた。
「昨夜の今夜ですから、酒はお罷しなすった方がようござんすらに。」
大分経ってから、母親がそこへ顔を出した。
「いいじゃないか。僕が飲むと言ったら。」笹村は吐き出すように言った。
しばらくすると、出し渋っていた酒が、そこへ運ばれて、鰹節を掻く音などが台所から聞えて来た。
「お銀に来て酌をしろって……。」
笹村が言って笑うと、K―も顔を見合わせて無意味にニタリと笑った。