輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

三十七

初めて惨ましい診断を受けたおりの先生に対した時の絶望の心持は、二人の胸に少しずつ萎やされていた。

「もう癌は胃の方ばかりじゃないそうだ。咽喉の辺へも来ているということだ。」

こんな私語が、誰からともなく皆の耳に伝わったころには、笹村も先生と話をするような機会があまりなかった。

医師の発言で使いや電報がそれぞれ近親の人たちの家へ差し向けられたのは、それから間もないある夜の深更であった。

高く積みあげられた病床の周りへ、人々はぽつぽつ寄って来た。

「こら、こんなだ。」と、心臓の悪いある画伯が、真先に駈け着けて来ると、蒼い顔をしてせいせい息をはずませながら入って来た。

昏睡状態にあった患者が、朝注射で蘇ったようにいた目に、取り捲いている多勢の人の顔がふと映った。部屋にはしめやかな不安の空気が漲っていた。静かに段梯子を上り下りする跫音も聞えた。そして、それが患者におそろしい暗示を与えた。

三十七

一時劇しい興奮の状態にあった頭が、少しずつ鎮まって来ると、先生は時々近親の人たちと語を交しなどした。その調子は常時と大した変りはなかった。

興奮――むしろ激昂した時の先生の頭脳はいたましいほど調子が混乱していた。