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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
四十九
母親は怪訝そうに、にっこりともしないで、わが子の顔を眺めた。
「嫁さんは素人でないとかいう話やが、そうかいね。」
母親はふと訊いた。
「戯談じゃない。新がそういうことを吹聴したんでしょう。」
笹村はそれを手強く打ち消した。
母親の方からも、笹村の方からも、それきり双方の肝要な問題に触れずにしまった。笹村は時々外で泊ることすらあった。
お銀のところから、帰りを促した手紙が来ると、母親は口へ出して止めることさえ憚った。
「……つまらんこっちゃ。」
立つ朝、いそいそと荷造りをしている笹村の側で、母親はふと言い出した。そして何か手伝おうとして、笹村に一ト声邪慳に叱り飛ばされて、そのまま手を引っ込めてしまうのであった。
四十九
この慈母の手を離れて、初めて東京へ出た当時のことなどを笹村は思い出していた。そのころは笹村も時々長い手紙も書いたし、どこかへ勤めることになったと言っては、手もとの苦しいなかから礼服なども送ってもらった。少しばかりの収入にありつくようになってからは、そのなかからいくらかずつ割いて贈ることも怠らなかった。
「これからは金もちっとはきちきち送らなけア……。