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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

お銀が翫具を交換したり、菓子のやり取りをしたりしている神さんも、一人二人あった。

「あの人の家は、浅草の区役所の裏の方だそうですよ、退院したら、きっと遊びに来てくれなんてね、莫大小の工場なんかもってかなり大きくやっているらしいんですよ。あんなお世辞気のない人ですけれど、どことなく好いたような気象の人ですの。私の顔さえみるといろいろなことを話しかけて、先方でも私のことをそう言うんですよ。」

お銀はその病室から、そのころ出たての針金を縮ませて足を工夫した蜘蛛や蛸の翫具を持って来て、それを床の上にかけわたされた糸に繋いだ。

退屈がっている正一は、しばらくのまもお銀を傍から放さなかった。お銀は子供の寝息を窺って、やっと手洗をつかいに出たり厠へ行ったりした。

「ちっと二階へでもあがって見ましょうね。そうしたら少しは気がせいせいしていいかも知れない。二階からは坊やの大好きな電車が見えてよ。」

お銀はそう言って、正一を負い出した。そして次の女の子を負っている女中と一緒に、二階の廊下へ出て窓から外を眺めさせた。子供は少し見ていると、もうじきに飽いて来た。

病室に飽きの来た笹村は、時々家へ来て、明け払ったような座敷の真中に、疲れた体を横たえた。