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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

」

お千代婆さんはそこを離れて来た。

「さあどうぞ。」

「有難うございます。」

細君は手で汗ばんだ額などを拭いていたが、間もなく上へあがって挨拶をした。そして時々じろじろとお増の方を眺めた。

「この方は近所の方ですがね。」

お千代婆さんは、お増を蔭に庇護うようにしながら言った。

「さいでございますか。」

顔の筋肉などの硬張ったお増は、適当の辞も見つからずに、淋しい笑顔を外方へ向けたきりであったが、その目は細君の方へ鋭く働いていた。そして細君が何を言い出すかを注意していた。

「浅井さんも、このごろじゃ大分御景気がいいようで、何よりですわな。」

お千代婆さんはお愛想を言いながら、お茶を淹れなどした。

「何ですかね。」細君は気のない笑い方をした。

「外じゃどうだか知りませんけれど、内はちっともいいことはないんですよ。それに御存じですか、このごろは子供がいるものですから、世話がやけてしようがないんでございますよ。」

細君は断れ断れに言った。

「そうですってね。お貰いなすったってね。」

「何ですか。料理屋とか、待合とかの女中と、情夫との間に出来た子だそうですよ。子供がないから、貰って来たっていうんですけれど、何だか解りゃしませんよ。