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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
細君の影もまだこんなに薄くはなかった。長味のある顔や、すんなりした手足なども、今のように筋張って淋しくはなかった。
しばらく京都に、法律書生をしていた時分に昵んだその女は、旦那取りなどをして、かなりな貯金を持っていた。そして浅井が家を持ったということを伝え聞くと、それを持って、東京に親類を持っている母親と一緒に上京したのであった。浅井はそれをお千代婆さんのところに託けておいて、それ以来の細君と自分との関係などを説いて聞かせた。女はむしろ浅井夫婦に同情を寄せた。そして一月ほど、そっちこっち男に東京見物などさしてもらうと、それで満足して素直に帰って行った。縹緻のすぐれた、愛嬌のあるその女の噂が、いつまでもお千代婆さんなどの話の種子に残っていた。
「浅井さんが、よくまあ、あの女を還したものだと思う。」
お千代婆さんは、口を極めて女を讃めた。
女が京へ帰ってからも、浅井は細君と相談して、よくいろいろなものを贈った。女の方からも清水の煎茶茶碗をよこしたり、細君へ半襟を贈ってくれたりした。
「お愛ちゃんはどうしたでしょうねえ。」
消息が絶えると、細君も時々その女の身のうえを案じた。