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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
殺人や自殺などの、血腥い三面雑報の刺戟づよい活字に、視線の落ちて行った浅井の心に、田舎へ帰ってから、気が狂ったというお柳のことが、ふと浮んで来た。浅井は目を瞑って、別れたその女の悲惨な成行きを考えて見た。一緒にいるころ、心に絡わりついていた女の厭わしい性癖や淫蕩な肉体、だらしのない生活、浪費、持病、ヒステレカルな嫉妬――それらが、今も考え出されるたびに、劇しい憎悪の念に心を戦かせるのであった。
「お今なども、年とったらやっぱりあんなになるかも知れない。」
浅井はそうも考えた。
金に目の晦んだ兄に引き摺られて、絶望の淵へ沈められて行った、お柳に対する憐愍の情が、やがて胸に沁み拡がって来た。
お柳の狂気になったことは、小林へあてての、お柳の兄からの手紙によって知れた。持って行った手切れの金などの、じきに亡くなってしまったことなどが、その手紙の文句から推測された。東京にいる時分に、もう大分兄の手で費消されたような様子も、小林の話でわかっていた。田舎へ帰ったときには、お柳のものといっては、もう何ほども残っていないらしかった。兄は不時に手にした大金に、急に大胆な山気が動いて、その金を懐にして相場に手を出したらしかった。