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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
「老主人の方だって、何もこちらの縁談が絶対にいけないと言うんじゃないんでござんすからな。」
前垂などをかけて、堅気の商人らしい風をしたその男は、そう言って話を進めた。
「もう一つほかの縁談を纏めてくれた方に対して、今さら義理が悪いというだけのことなのです。」
そんな話を一々素直に受け入れた浅井は自分からお今にも説き勧めた。そういう時の浅井の頭には、何らの矛盾もないらしく見えた。時がたちさえすれば、罅の入ったお今の心が、それなりに綺麗に縫じ合わされたり熨されたりして行くとしか思えなかった。
浅井の見立てで、お今に着せて見たいと思う裾模様をおかせた紋附などが、お増と三人で三越へ行ったとき註文されたのは、それから間もない十月の末であった。お今が同意とも不同意とも、はっきり言いきらないうちに、話が自然に固められて行った。
お今はどうかすると、燥いだような調子で、支度などについての自分の欲望を、浅井一人の前に言い出した。お増の立てた見積りが、反抗的な甘えたお今の気分には、一つ一つ不満足であった。
浅井のところで、どうかすると室と落ち合う時などの、髪や着物を気にする、お今のそわそわした様子が、お増の目にも憎らしく見えて来た。