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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

その叔父は夙くから村を出て、田舎の町や東京で、長いあいだ書生生活を続けて来た。勤めていた石川島の方の会社で、いくらか信用ができて株などに手を出していたが、頚に白羽二重を捲きつけて、折り鞄を提げ、爪皮のかかった日和下駄をはいて、たまには下宿へもやって来るのを、お庄もちょいちょい見かけた。肩つきのほっそりしたこの叔父と、頚の短い母親とが、お庄には同胞のようにも思えなかった。

「小崎の迹取りはお前だに、皆を引き取ればよい。この節は大分株で儲けるというじゃないか。」下宿の主婦は叔父を揶揄うように言ったが、叔父は取り澄ました風をして莨を喫しながら、ただ笑っていた。

それから二、三日経ってから、ある晩方母親は正雄をつれて行ったが、一人で外へ出たことのないお庄も一緒に家を出た。

そのころ引っ越した築地の家の様子は、お庄の目にも綺麗であった。三味線や月琴が茶の間の火鉢のところの壁にかかっている、そこから見える座敷の方には、暮に取りかえたばかりの畳が青々していた。その飾りつけも町屋風で、新しい箪笥の上に、箱に入った人形や羽子板や鏡台が飾ってあり、その前に裁物板や、敷紙などが置いてあった。