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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

ふと呼鈴がけたたましく耳に響いた。茶の間へ出て行くと、今店の方から来たばかりの小僧が一人、奥へ返辞もしないで、明るい電燈の下で、寝転んで新聞を読んでいた。お爨は台所で、夕飯の後始末をしていた。

「お前さんちょっと行ってくれたってもいいじゃないの。」

お庄は小僧に言いかけて、手で臀のあたりを撫でながら、奥の方へ行った。奥は四、五日甲高な老人の声も聞えなかった。内儀さんは、時々二階へあがって、そこで一人かけ離れて冬物を縫っているお針の傍へ行ったり、物置の方へ物を捜しに行ったりして、日を暮した。お鳥に聞かされるいろいろの話に引き寄せられていたお庄は、しばらくこの主人とも疎くなったような気がしていた。

内儀さんは樟脳の匂いの染み込んだような軟かいほどきものを一枚出して、お庄に渡した。

「お前、旦那がお留守で、あんまり閑なようなら、ちっとこんなものでもほどいておくれ。」

お庄はそれを持って引き退って来たが、今急に手を着ける気もしなかった。

水天宮へ出かけて行った店の若い人たちが、雨に降られてどかどかと帰って来た時分には、お庄もお鳥の帰りが待ち遠しいような気がして来た。