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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

三十一

叔父はそのころから株に手を出したり、礦山の売買に口を利いて、方々飛び歩いたりした。そして儲けた金で茶屋小屋入りをした。

「良人もあすこは、今年がちょうど三年目だでね、どうか巧い工合に失敗らないでやってくれればいいと思ってね……三年目にはきっと失敗るのが、これまでのあの人の癖だもんですからね。」

母親は性のないような指頭に、やっぱり針を放さなかった。

「もう年が年だから、弟もちっとは考えていますらい。」と、弟贔屓の母親は眠そうな顔をあげた。

「それに私も、この年になるまで子がないもんですからね。」

「まだないという年でもござんすまいがね。弟だって、四十には三年も間のあることだもんだから……。」

お庄はやがてこの叔母の傍へ寝かされた。叔母は床についてからも、折々寝返りをうって、表を通る俥や人の足音に耳を引き立てているようであった。するうちお庄はふかふかした蒲団に暖められて快い眠りに沈んだ。

三十一

翌朝目がさめて見ると、叔父はまだ復っていなかった。明け方近くに、ようやく寝入ったらしい叔母は、口と鼻の大きい、蒼白いその顔に、どこか苦悩の色を浮べて、優しい寝息をしながら、すやすやとねていた。